2018年8月28日(火) 03:33 遊郭・赤線コメント(2)

昭和33年創業のスナック 古河市編⑥

前回、お邪魔した下山町の酒場の常連さんに教えていただいた
同じ下山町にあるスナックに行ってきました。
常連さんと約束した時間の17時より10分ほど早く到着しました。
ガラガラーと引き戸を開けると
お店のお母さんがカウンターから
「いらっしゃいませ。」
と、優しく声をかけてくださいました。
常連さんは既にカウンターで飲んでおり
他にも男性のお客さんが2人ほどいました。
お店のお母さんに
「○○さんのご紹介でお邪魔しました!
ウーロン茶お願いします!」
と、注文をして常連さんの隣の席に座りました。
常連さんと軽く挨拶をし、
同行していただいたお礼を言いました。
そして、常連さんはお店のお母さんに
「この子赤線や青線のことを調べてて
ばあちゃんに聞きたいんだって!」
と、伝えてくださり
お母さんにおばあちゃんを呼んでいただきました。

おばあちゃんはお店の奥から
ゆっくりゆっくり出てきてくださり私の隣に座りました。
おばあちゃんに自己紹介と自分の調べていることを伝え
お話を伺わせていただきました。
おばあちゃんは大正13年生まれで94歳、
昭和20年の終戦後から古河に住んでおり
昭和33年にこちらのお店を開いたそうです。
古河は昔、生糸で栄え、
戦時中はパラシュートにも使われていたのですが
外国の化学繊維と比べ破れやすいなどのデメリットがあり
だんだん廃れていってしまったそうです。
そして、創業当初の横山町の様子や赤線について
お聞きしたのですが、
「うちはちゃんとお酒を置いて商売をしていたから
女の人を置いて売春なんかはやっていなかったよ。
当時お店をやっていて今でもその子供なんかも住んでいるけど、
立派に成長して今は暮らしているからお話はできません。
やっぱりね、当時戦争に負けて貧しかったとしても
将来好きな人と結婚してって考えるとやっぱりできなかったよね。
戦争が悪いんです。」
と、お話してくださいました。
当時のことを聞くことは人権にも関わり、
売春の善悪の難しさや、
お話を伺う意図として決して個人を特定したり
暴いてやろうという気持ではないと伝える難しさを感じました。
また、自分が夜のお仕事を始めるときに感じた
苦悩を改めて思い出しました。
とても複雑な思いがありましたが、おばあちゃんに
「お話してくださりありがとうございました。」
と、お礼を言いました。

その後もお店のお母さんや同行してくださった常連さんと
お話をしていたのですが、
以前ブログにも書いた”あいまい料理店”のお母さんの話が出て、
10年ほど前までは自転車に乗ってお客さんとして
こちらのスナックに来ていたそうです。
その時のエピソードをお店のお母さんが話してくださいました。
「ああ、あのおばあちゃんは色気のある女の人で
そういう商売昔やってたのはなんとなくわかるわ!
あのおばあちゃんがうちに来た時に
34、5の男の子が隣に座ってて
『お兄さん、私を妾にしてくれない?』
って、言ってたのよ。
商売していた時の雰囲気で話すからすごいわよね。」
と、話してくださいました。
また、常連さんも面識があったそうで
15~20年前に一緒にパチンコに行ったりしていたそうで
「あのおばあちゃんはスケベなことばっかり言って
面白いばあちゃんだったよ。
最近は会ってないけど今でも元気なんだな。
うちに飲みにおいでよって誘うから
友達と2人で行ったけどあのばあちゃんすごい飲むんだよな。
一人でビール瓶5本くらい飲んじゃうんだよな。」
と、お話してくだいました。
あいまい料理店のお母さんの話も聞けて
人柄というか、人物に立体感がでて
お母さんは当時どんな女性だったのだろう、
どのように男性と接していたのだろうと思い
もっと知りたくなり、
また元気なうちに会いたいなと思いました。

そして、常連さんの知っている古河や近隣の話で
昔、古河の三杉町にトルコ風呂が1軒あり
7~8人女の子がいたことや
近隣の旧総和町にお金以外にもお米を持っていくと
”そういうこと”ができたお店が子供のころあったなと、
お話を聞かせていただきました。
そして、いろいろとお話をしているうちに
いい時間になり皆さんにご挨拶をしてお店を出ることにしました。

人にお話しを伺う難しさや、
自分のやりたいことをもっと明確にしなくてはいけないなと
未熟さを感じたり
思いがけず面白い話が聞けたりと
いろいろとお勉強になりました。
次に生かしていこうと思います。

売春を肯定する、その中で
実際にその土地でリアルな声を聞くって難しい。
否定的な意見があるのも当然だけど
ブレてはいけない。
熱意を自分の気持ちをまっすぐに持とう。

更新日時:2018年8月28日(火) 03:33 コメント(2)

2件のコメント

  1. 36号室 より:

    レポート拝読しました。
    真剣に「知りたい」と感じ、実地に調べものをする際には当事者(または事情をよく知る方)に直接お会いしてうかがうのが上策ですし、それを実行されているのは素晴らしいと思います。

    そんな時、大切にしなければならないのは「信頼」なんだろうなとも思います。

    初対面であれ、何回もお会いして積み重ねるものであれ、『あぁ、お話ししても大丈夫』と思わせる何か。
    年配の方だと、わかりやすく目的を理解していただくことと、見た目や立ち振る舞いも大事だと思っています。

    長年生きてこられて、かつお仕事柄、様々な方を見てこられていますから、人柄を見抜くのはお手の物でしょう。
    ただ、人柄が大丈夫だと信頼されても、周りの人達を思うと話すことをためらうのも理解できます。

    そんな時はサラっと風のように吹き抜けるのが良いのかなと思っています。
    そうしたら再訪した時に、気分によってはお話し下さるかもしれませんね。

    人は風に呟きたくなる時もありますから。

    長文失礼しました。

    • mugikomugi より:

      返信が遅くなり申し訳ありません。
      なかなか初めてお会いする方とお話をするときに切り口や距離感など難しいなと感じたり、自分の未熟さや手法に悩んだりします。
      少しずつですが、遊郭研究や人間としても成長していきたいと思います。
      アドバイスもありがとうございます!

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